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先天欠如歯の対処法

先天欠如歯とは、何ならかの原因で、生まれつき歯胚が無いことで起こります。乳歯や永久歯に見られます。

永久歯の歯種で見ますと、下顎第2小臼歯の欠如頻度が最も高く、次いで下顎側切歯、上顎第2小臼歯、上顎側切歯の順となっています。

ご存知でしょうか?

少し古い話ですが、Yahooニュースで「永久歯足りない子 10人に1人」 のタイトルで、日本小児歯科学会が平成22年11月に実施した一般公開講座 「小児歯科から永久歯の先天欠如を考える」 の記事が紹介されました。意外に多いですね。

私が混合歯列前期の矯正歯科治療の患者(7~9歳頃)さんで頭を悩ませる問題の一つは、永久歯の先天欠如と当該乳歯の晩期残存です(レントゲン写真からわかります)。

通常、乳歯は、後継永久歯の萌出に合わせて、乳歯の歯根が吸収し最後は脱落します。ところが、永久歯が先天欠如の場合は、乳歯は通常の脱落時期になっても残存しています。永久歯列完成期では、隣の正常に交換した永久歯のように縦の成長がないので、歯冠の高さも孤立して低いままです。これを沈下乳歯と言います。

さて、これが分かってどうするか? です。 不正咬合があって将来の矯正歯科治療が想定される患者さんなら、この乳歯を抜いてできた空隙を矯正治療による歯の移動で閉鎖しましょう、と言えます。しかし、ワイヤー装置を入れるまでには年数がある、あるいはワイヤー矯正装置による最終仕上げの矯正治療があまり必要ではない状態、本装置による治療を望まない方、などの場合があります。この晩期残存乳歯が乳臼歯で、30代になっても残っているような場合があります。そして、急に抜けた場合はどうでしょう?

乳臼歯は結構な横幅があります。それが抜けたら大きな空間ができるわけで、それを矯正で詰めるには大臼歯を移動することが必要で、大きな根を張って複数ある大臼歯を長い距離移動するには結構な時間がかかるのです。また、成人になってわざわざ矯正装置をつけることも問題でしょう。

一方、補綴処置でも容易ではありません。この空隙、スパンが問題です。インプラント一本では間に合わないこともあります。

矯正治療の際、将来の補綴処置を前提に、完全に閉鎖せずに適切な空隙を残して終了することもできます。悩ましい問題です。