診断で、インビザライン・アライナー(アライナー型矯正装置)を使うことになった患者の症例です。
21歳の女性ですが、検査の段階で上顎左切歯の口蓋側に埋伏過剰歯が見つかりました。
しかし、パノラマレントゲン写真や口内法撮影写真など通常のレントゲン写真では、移動する歯の根と過剰歯の三次元的位置関係が分かりづらいため、CTを撮影することにしました。
その結果、上顎切歯のすぐ後ろに過剰歯があることが分かったのです。
これに、インビザラインの治療計画で用いるクリンチェックという歯の移動動画を組み合わせると、矯正治療の対象となる切歯は回転させ少し内方(口蓋側)に移動するため、歯根吸収の危険性など安全を考慮し過剰歯の抜去を決定しました。
いま、クリンチェックは、歯冠のみの動きを把握できますが、歯根の形態や大きさ・位置のデーターは反映されていません。そこで、このようなCTデータから歯冠と歯根の形状を突合させ一体化することができれば、歯根の動きを意識した高度の歯の移動が可能になります。
補足:ワイヤーの装置でも、アライナーでも、矯正力をかけるのは歯冠部となるため、歯冠部にかけた力で力点から離れた歯根を動かすには大きなモーメントが必要となります。