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矯正装置とMRI撮影

2日続けてお問い合わせがありました。

「今度、MRI撮影するので、大丈夫か矯正の先生に聞いてください」と言われて、、、。

私は、いつも不思議に思います。意地悪にも、”大丈夫か”って、矯正装置が壊れたり、吹っ飛んでMRI装置の内部にくっついたり、熱くなったりするってこと?

歴史的に見ますと、矯正装置の方がMRI装置よりも早くからあります。後発組が考える対応・対処の問題ではないか?と思ってしまうのです。

意地悪なことは、止めまして、ここは冷静に学術的に説明しましょう。

ご存知の方が多いとは思いますが、MRI(magnetic resonance imaging)は、磁力と電磁波で画像を作成しますから、生体とは異なる異物がありますと本来、観察したいところが見えくなることがあります。こういうのをアーティファクト(artifact)と呼びます。被検者が動いたり、撮影部近くに金属があったりすると画像が乱れたり欠けたりしますので、これを心配されてのことだと思います。金属がありますと、磁場が乱れる原因になるからです。

矯正装置の代表である固定式のワイヤー装置(マルチブラケット装置)は、殆どが金属製ですから、かなり影響があると思われます。矯正用のワイヤーや金属製ブラケットに使用されている金属は、主にニッケルやコバルトクロムです。一方、一般歯科で使用される金属パラジウムやチタン、ステンレス等は影響がないと言われています。

連続してお問い合わせがあった方は、女性で、すでにワイヤー装置が外れて、保定装置となっている方です。しかし、下顎の前歯には歯の裏側を細いステンレスで接着しています。今回は、これが問題になるかどうかです。

材料が、太さの細く短いステンレス製であること、撮影部はここから大きく離れた腰部であること、を判断して、私は「影響はないと考えます」とお答えしました。

これまで、数件のお問い合わせがありましたが、事後に何のクレームも来ていません。また、固定式装置と近接した部位を撮影する場合は、撮影前には撤去し、撮影後に再び設置するようにしています。ご安心ください。

*MRI撮影をすることになりましたら、先ずは担当医師の方に矯正器具を装着している旨をお伝えしてください。