11月3日から始まった第80回日本矯正歯科学会学術大会と第5回国際会議が、本日で終わります。
今年は、コロナの影響があり、会場はパシフィコ横浜とWEBでした。私は、WEB参加でしたので、診療をすることが出来て有難かったです。
テーマは、『望まれる矯正歯科の未来』というものでした。
未来がどのようになるかは、誰も分かりませんが、デジタル化がさらに進むことは間違いのないことでしょう。
これまで先人達がやってきた感覚や勘が、今後詳細に解明され医療がどのように発展していくか、期待したいところです。
個人的には、第5回国際会議の記念シンポジウムとなっている「アライナー矯正の光と影」に興味がありました。
演者は3名で全て外国の方。お一人30分の講演でしたが、影の部分が強く出てきませんでした。
大会会長の槇先生からは、事前に各演者に対し『ひどく失敗した症例を発表してください』とのことだったようですが、実際は、酷いものはありませんでした。
どんな装置でもそうですが、大事なことはそれをどのように使えるか・使うか、だと思います。警鐘を鳴らしたい気持ちは分かりますが、有用なこと危険なこと併せて知ることが大事ですね。さらに、発表する側は、上手くいった症例を見せたいものです。
鋏で殺人事件が起きたら、『鋏は危険だから、売らないようにすべき』と考えるのはバランスを欠いた発想になります。
アライナーと呼ばれる装置は、インビザラインだけではありませんし、日本でも数社から製作されています。世界的にみると相当数の失敗例があるのも事実でしょう。
装置の設計を依頼するのは、矯正医だけではなく一般歯科医の先生も自由にできます。矯正の知識や技術がある人とそうでない人の差は当然あるでしょうし、結果にも差が出るでしょう。うまくいかなかった症例をどのようにするかは、とても難しい問題です。失敗するから使うな、では一方的な解決でしかありません。
これからの姿としては、専門医が相談や指導するシステムが出来れば、術者の知識や技術のレベルの底上げも期待できるでしょう。