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コロナウイルスにアルコールが有効な訳は

新型コロナウイルスに、アルコール消毒は有効とされています。しかし、我々の医療現場にも医療用アルコールが届きません。調べると業者の倉庫には金属の缶にたっぷりあります。アルコールは作ることが可能だから品薄になることはないと高をくくっていましたが、ここまで来ると異常ですね。希釈して使える無水アルコールもドラッグストアにはなく、ネットでは普段の三倍以上で売られています。在庫あるのに容器がないとかで売り控えていると言ってますが、、、足元観て、値段を釣り上げています。

さて、本題に戻って、何故、有効なのでしょう?

それは、コロナウイルスが「エンベロープウイルス」の1つだからです。エンベロープ、とは封筒という意味ですね。

ウイルスの図
図:Pixta

図の上段がエンベロープウイルス、下段はエンベロープを持たない「ノンエンベロープウイルス」のイメージです。上段の図で水色の点線で描かれているのがエンベロープ、上下両方に共通する六角形は「カプシド」と呼ばれる“殻”、波線は遺伝物質(DNAまたはRNA)を表します。

ウイルスは、基本的に遺伝物質(コロナウイルスは一本鎖RNA)とその“入れ物”からできた粒子で、それだけでエネルギーを消費したり自己の複製をつくったりするといった活動はできません。他の生物の細胞に取り付いて中に入り込み、そこにある酵素やアミノ酸などを勝手に使って増殖、最後はその細胞を飛び出し、さらにほかの細胞に取り付き……という過程を繰り返し増えてゆきます。エンベロープは、それを持つウイルスが細胞の表面に取り付く際に重要な役割を果たし、破壊されると感染力が失われ(失活し)ます。

これらエンベロープは脂を主成分とし、水をはじく「脂質二重膜」という膜でできています。アルコールは、膜の主成分の脂質を溶解することでウイルスの感染力を失わせることができるのです。だから、手洗いに石鹸が有効なことも分かりますね。

しかし、同じアルコールでも燃料用に使われる”メチルアルコール”は、別のもので、危険ですし飲めません。お酒はエチルアルコールですから濃度が高いものは消毒用に使えますね。もちろん70度以上のものでないと効果がありません。